担保を信託受益権にする理由は何ですか?
主に、①流通税の軽減、②投資適格性の補完、③不動産特定共同事業法への対応が理由として挙げられます。
①流通税の軽減
信託受益権売買においては、不動産を売買する場合に比べて取引に係る流通税(不動産取得税、登録免許税、売買契約に係る印紙税)が免除又は軽減されます。
②投資適格性の補完
信託受益権化にあたり、信託受託者となる信託銀行(又は信託会社)が、事前に不動産の遵法性やテナント属性などを審査するため、信託受益権化される物件は一定の投資適格物件であるといえます。
③不動産特定共同事業法への対応
投資家から出資を受けて現物不動産を取得し、その収益を投資家に分配する場合、原則として不動産特定共同事業法に基づく許可を取得する必要がありますが、これには厳格な要件が定められています。
不動産投資の器として用意される特別目的会社には設立コスト等の理由から合同会社を用いることも多く、これらの合同会社が不動産特定共同事業法の許可を取得することは困難です。
そのため、不動産流動化(証券化)案件において特別目的会社を用いる場合は、現物不動産ではなく信託受益権を保有する仕組みが多く採用されています。