今回はマイホームを購入する際のポイントの1つである「土壌汚染」についてまとめてみます。
◯ 土壌汚染とは?
そもそも、「土壌汚染」とは何をいうのでしょうか?
2003年に施行された土壌汚染対策法(2010年、2011年に改正)では、「特定有害物質が基準値以上含まれている土地」に土壌汚染があるとしています。ここでいう「特定有害物質」は、「鉛、砒素、トリクロロエチレンその他の物質(放射性物質を除く。)であって、それが土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるもの」と定めてあります。つまり、人体に害を及ぼす可能性がある物質を多く含んだ土地が、土壌汚染地と言えます。
◯ 住宅購入の際、なぜ問題になるのか?
そもそも人体への影響が最も大きな心配事であるので、購入者が安心して住めるのかどうか、という点で問題があります。もっとも、土壌汚染がそのまま健康上の問題となるケースは、近年では稀です。しかしながら、土壌汚染のある土地は売却時に流動性が落ちる(希望価格で売却しにくくなる)可能性が高いと思われます。また、「マイホーム購入後に土壌汚染が発覚した場合に、誰が汚染除去費用を負担するか」という問題が起こるケースもあります。これについては、まずは「汚染者負担原則」と言われ、原則として汚染をした者がその土地を綺麗にする、つまり汚染を除去する責任を負っていますが、
(1) 汚染者が特定できない
(2) 自然に汚染された土地である(自然由来といいます)
上記のような場合、マイホーム購入者が汚染除去費用を払わざるを得ないケースが実際に起こっております。また、汚染者を特定したものの、その後、汚染除去費用を負担させるために訴訟をせざるを得ないケースもあります。
◯ 購入前にすべきポイントは?
では、購入前に何をすべきなのでしょうか?最も万全な対策は、「専門の調査会社にお願いする」ことです。但し、当然のごとく費用が発生します。調査内容にもよりますが、通常、数十万、という金額が最低必要となります。
そこまでのお金は用意できない、まだ検討段階なので、お金をかけずに出来る範囲で調査したい、という方には、「古地図調査」がおすすめです。過去にどのような土地利用がされていたのか、周辺には汚染を引き起こすような工場等はなかったか、といったことが古地図を調べると簡単にわかります。また、この古地図調査は、専門の調査会社でも必ず実施するもので、簡単なことですが、重要な調査事項となっております。
◯ 「古地図調査」はどうやってやる?
最も簡単な方法は、近くの図書館に行くことです。分館等の小さな図書館ではおいていないこともありますが、通常の図書館には数十年前のものから最近のものまで古地図がおいてあります。江戸時代等、数百年前の古地図を見られる場合もあります。これらの古地図を見て、
(1) 購入予定の土地の利用状況
(2) その周辺の利用状況
を数十年前の古地図から調べ、「工場・クリーニング施設・ガソリンスタンド」等、土壌汚染を引き起こす可能性がある土地利用がなければ、「土壌汚染の可能性は低い」ということができそうです。
もしマイホーム購入にあたり、土壌汚染が気になりましたら、まずは図書館へ行ってみましょう。
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