どの業界にもその業界の外の人間には伝わりにくい言葉があると思います。例えば、証券会社の国債トレーディングフロアに行くと「ベア・スティープ」や「ブル・フラット」といった普段、日本語でも英語でも全く聞き慣れない言葉が飛び交っています。
不動産業界でもそのような言葉がいくつか存在します。今回は一般にはなかなか聞くことのない「坪単価」という言葉についての記事です。
▶ 坪単価とは建物や土地などの面積(坪)あたりの単価です。
まず、「坪」とは面積の単位で、1坪=約3.306平方メートル(1平方メートル=約0.3025坪)です。これは、だいたい畳2枚分の広さになります。世界でも、日本と台湾(最近まで韓国)でのみ使われている面積単位のようです。
一般的には面積といえば(例えば住居用分譲マンションの面積)、平方メートルが使われていますが、不動産投資や不動産開発に携わっている人々は業務の中で「坪」を使う傾向にあります。
不動産投資、不動産開発従事者に平方メートルがなかなか広まらない要因のひとつが、「坪単価」であると思います。より具体的には、坪単価で表されるものに慣れきってしまっている現実があります。
不動産専門家の間での取引では、当然のように面積単位あたりの金額を計算します。不動産の賃貸であれば「月額賃料坪単価」、売買であれば「専有面積坪単価」、建築(建設費用)であれば、「延べ床面積あたりの坪単価」といった具合です。
この、それぞれの坪単価の相場感が不動産の専門家たちの間に出来上がっており、それをいまさら平方メートル単価に変えていくのが難しい現実があります。例えば、「東京のオフィスはどんなに高くても一坪○○円(月額賃料)で借りられる」とか、「銀座の一等地は一坪○○円(売買坪単価)を割ることはない」とか。
ちなみに、日本に投資をしている外国人も、月日が経つと、(英語を使用する人であれば)「per tsubo(坪当たり)」と言っていたりします。
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