不動産投資の代表的なものとして、住宅(レジデンス、賃貸住宅)とオフィスビルへの投資があります。投資対象を選ぶ際は、それぞれの特徴を理解したうえで検討することが重要です。
今回は、住宅とオフィスビルのそれぞれの特徴について解説いたします。
住宅とオフィスビル、それぞれの特徴とは?
一般的に、不動産投資のうち住宅への投資は「ローリスク・ローリターン」から「ミドルリスク・ミドルリターン」、オフィスビルへの投資は「ハイリスク・ハイリターン」であるといわれています。それでは両者にどのような違いがあってこのように評されるのでしょうか?まずはそれぞれの一般的な特徴をご紹介いたします。
住宅の特徴
不動産投資初心者にとって身近な不動産投資といえるのが、マンションやアパート等といった住宅(賃貸住宅)への投資です。一般的な特徴としては
- 購入価格:数百万円~数千万円で始められることが多く、比較的手頃
- 物件数:多い
- 賃料単価:オフィスビルと比較すると安いことが多い
- 賃料:ディフェンシブ(安定型)
- 利回り:同じようなエリアおよび規模のオフィスビルへの投資と比較すると、低い傾向がある
- 収益性:ある程度安定した収益を期待できる
といったことが挙げられます。
住まいは「衣食住」の一つであり、安定した生活に必要といえるでしょう。そのため、景気が悪化した場合でも賃貸需要が急激に落ち込む可能性は低く、オフィスビルへの投資と比べ安定した収益を期待することができる、と一般的に考えられています。
オフィスビルの特徴
一方で、一般的に上級者向けと考えられているのが、オフィスビルへの投資です。オフィスビルの特徴としては
- 購入価格:数億円以上することがほとんどで、敷居が高い
- 物件数:住宅ほどは多くない
- 賃料単価:住宅と比較すると高いことが多い
- 賃料:シクリカル(景気敏感型)
- 利回り:同じようなエリアおよび規模の住宅への投資と比較すると、高い傾向がある
- 収益性:安定しない傾向がある
等があります。
オフィスビルは、借り手が事務所や店舗等のテナントであるため、賃料や賃貸需要が景気変動の影響を受けやすい傾向にあります。景気変動に伴い賃料交渉が行われることはよくありますし、企業のオフィス移転もみられます。特にAクラスといわれるオフィスビルは景気の影響を受けやすいとされています。
さらに、オフィスビルの場合はテナントの業態や業種によって求められる立地・設備等も異なるため、知識と経験を持った人の方が強みを発揮する余地が大きいといえるでしょう。
住宅とオフィスビル、費用面での比較
それでは、費用面ではどのような違いがあるのでしょうか。「メンテナンス費」、「水道光熱費」、「税金」の観点から比較いたします。
メンテナンス費
住宅とオフィスビルとであまり差はありません。ただし、原状回復費用に関しては大きな違いがあります。
住宅
国土交通省の定めるガイドライン等によって、経年劣化や通常の使用による損耗程度であれば、その修繕費用は賃料に含まれると解されています。よって、多くの場合、原状回復費用を借り手と貸し手が、部屋の使用状況等により分担して支払っています。
オフィスビル
借り手がクロスや床板、照明器具等の内装を造り変えて使用する点、多数の人員の出入りがあるため通常使用を超える損耗が想定される点等を主な理由として、借り手が原状回復費用を負担するのが一般的となっています。
このことから、原状回復費用については、基本的には借り手側が負担してくれるオフィスビルの方が投資家にとっては有利であると考えられます。
水道光熱費
一般的に、エントランスやエレベーター、ゴミ捨て場等の共用部の水道光熱費はオーナー負担となります。建物の規模等にもよりますが、一般的にはオフィスビルの方が水道光熱費がかさむといわれています。
なお、オフィスビルの場合、水道光熱費をいったんオーナーがすべて負担したうえで、各テナントから使用量に応じた金額を徴収している場合も多くありますので、一概にオフィスビルの方が住宅よりもオーナーの負担が重いと判断することはできないでしょう。
税金
原則、不動産は保有しているだけで固定資産税や都市計画税(都市部の場合)が毎年発生します。しかし、住宅用地には固定資産税や都市計画税の課税標準の特例措置が設けられている等税負担が軽減される場合があり、税金面では一般的に住宅の方が有利であると考えられています。
最後に
これまでみてきたように、同じ「不動産投資」でも、住宅への投資とオフィスビルへの投資とでは様々な違いがあります。
なお、オフィスビルに投資した場合のテナント誘致の留意点については以下の記事で解説していますので、是非ご参照ください。
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