積算価格とは?積算価格と収益価格の意味から計算方法・注意点を徹底解説

物件の価格が妥当かどうかを判断する基準の一つとして、「積算価格」があります。これは、土地と建物のそれぞれの価値を合算した価格のことであり、主に銀行が融資額の判断を行う際にも用いられます。
今回は、積算価格の具体的な計算方法や、積算価格の高い物件の注意点について解説します。

 

積算価格・収益価格の意味

積算価格とは

「積算価格」とは、土地と建物のそれぞれについて現状の価値を査定して合算し、それに修正を加えた価格のことをいい、以下の下記の式で表すことができます。

◯ 積算価格 = 土地の現在価格 + 建物の現在価格 + 修正額

収益価格とは

「収益価格」とは家賃収入から計算された不動産価格のことを指し、対象の不動産が将来生み出すだろうと予測する純利益と、現在価値を総合して算出する不動産の価値の二つを合計したものです。

◯ 収益価格(直接還元法) = 純収益÷還元利回り

積算価格と収益価格の違い

積算価格は、建物を再度建てる場合の不動産の費用面に着目した価格であり、自分で建てて使用するといったような実需の面を考慮した価格です。

一方で、収益価格は対象の不動産が得られる家賃などの収益性に着目した価格であり、主に不動産投資をする場合に不動産価格を算出するために利用されます。

 

土地の現在積算価格の計算・算出方法

土地の現在価格は、国税庁が発表する「相続税路線価(以下「路線価」)」や、国土交通省が発表する「公示価格」を基に計算します。これらは「路線価」・「公示価格」は毎年発表されるため、現在価格が求められるようになっています。
例えば、路線価を用いて計算する場合、路線価は1㎡あたりの価格が示されていますので、土地の現在価格は、路線価にその土地の面積を乗じて算出した金額となります。

◯ 土地の現在価格 = 路線価×面積

土地の現在価格の計算例

それでは、路線価が日本一高いことで知られる、東京都中央区銀座5丁目の土地で50坪あった場合について、現在価格はいくらになるのでしょうか?を計算してみましょう。

 場所 : 東京都中央区銀座5丁目
 面積 : 50坪(≒165㎡)
 路線価: 3,200万円/㎡

上述のとおり、土地の現在価格は路線価に面積を乗じたものなので、銀座5丁目の50坪の土地の価格は、下記の金額となります。

 → 土地の現在価格: 3,200万円 × 165㎡ = 52億8,000万円

 

建物の現在積算価格の計算・算出方法

建物の現在価格は、当該建物を再び新築した場合の価格に、築年数に応じた残存価値を考慮し乗じて計算します。
当該建物を再び新築した場合の価格は、金融機関ごとに建物の構造に応じて定められているた建築単価に、建物面積を乗じたものとなりまるようですります。
築年数に応じた残存価値は、法定耐用年数における残存耐用年数の割合によって求められます。

◯ 建物の現在価格 = 建築単価 × 建物面積 × 残存耐用年数割合

建物の現在価格の計算例

次の建物の現在価格について、計算してみましょう。

 木造・建築単価: 40万円/坪
 延床面積   : 110坪
 法定耐用年数 : 22年
 経過年数   : 10年

上述のとおり、建物の現在価格は新築価格に残存耐用年数割合を乗じたものなので、この建物の現在価格は以下の計算式より算出されます下記の金額となります。

 → 建物の現在価格: 40万円 × 110坪 × { ( 22年 − 10年 ) ÷ 22年 } = 2,400万円

修正額の求め方

上記で求めた土地価格については、土地の形状や立地などの特性により、必要に応じて修正を行います。土地の特性による修正としては、例えば、細長い土地や工業地域に属する土地は減額したり、角地や商業地域に属する土地は増額したりすることなどが挙げられます。
ただし、投資物件を検討する際の参考として積算価格を求める場合には、手間を勘案すると、土地の特性が極端に悪いなどの事情がない限り、そこまで厳密に修正する必要は無いといえるでしょう考えられています。

 

「積算価格」の高い物件の注意点

ここまで、積算価格(土地と建物の現在価格の合算額に修正を加えた価格)の求め方について説明してきました。
金融機関の多くは、物件の積算価格を参考にして融資額を決定します。仮に不動産を担保として差し押さえたときに、積算価格の高い物件は高く処分することができると想定されているからです。一般的に、積算価格の約7割が融資限度額とでされるケースもあるようあるです。
このことを踏まえると、物件の選定にあたっては、できるだけ積算価格の高い物件に投資したいと考えるのが当然でしょう。しかしながら、積算価格の高い物件には、いくつか注意点が存在します。

建て替え時の利回り低下

積算価格の高い物件は、建て替え時に利回りが低下する可能性が考えられます。当然、時間の経過とともに建て替えの必要が生じるので、積算価格を考慮する必要があります。
例えば、次のような不動産Aがあったとします。

◯ 不動産A:
 ・土地の現在価格: 3,000万円
 ・建物の現在価格: 7,000万円
 ・積算価格: 1億円
 ・売買価格: 8,000万円
 ・賃貸収入利回り(金額): 10%(800万円/年)

不動産Aは積算価格が高く、利回りも10%であるため、魅力的な不動産だと思えるかもしれません。しかし、不動産Aの建て替えを考えてみます。
新築建物価格が2億円と仮定します。土地価格は変わらず3,000万円なので、新築時の積算価格は2億3,000万円となります。
便宜上、賃貸収入が変わらず800万円/年として利回りを計算してみましょう。

 800万円 ÷ 2億3,000万円 ≒ 3.5%

不動産Aの建て替えを行うと、当初10%あった利回りが3.5%へ大幅に低下してしまいました。仮に賃料を25%上げて賃貸収入を1,000万円としても、利回りは4.3%と低いままとなってしまいます。

 ・関連記事:不動産投資をするなら覚えておきたい税金制度

 

不動産投資における積算価格の位置づけを意識する

不動産投資を行う際には、投資対象の不動産の価値をきちんと計算し、計画を立てることが大切です。今回解説した積算価格が求められると、銀行の融資額の見込みを立てることができ、自分で用意すべき頭金の額についても分かります。
ただし、不動産投資という観点から見ると、積算価格が高い物件が必ずしもよいとは限りません。物件の収益性といった側面から収益価格についても考慮する必要があります。

 

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