不動産投資を行うにあたっては、自分の投資スタイルに応じて採るべき戦略を決定することが必要です。また、それぞれの戦略について、リスクやリターン等押さえるべきポイントを知っておくべきでしょう。
今回は、不動産の投資戦略について、その分類と特徴について解説していきます。
不動産投資戦略の4類型
不動産投資で利益を得る方法は、低リスクのインカム・リターン(賃貸収入等)と高リスクのキャピタル・リターン(値上がり益)があります。
どの利益を狙うかによって、不動産の投資戦略は、コア型、コアプラス型、バリューアッド型、オポチュニスティック型の4種類に分類することができます。
(1)コア型
コア型投資は、不動産賃貸から生じるインカム・リターンを主な目的とする投資戦略です。低利回りですが、安定した賃貸収入が見込める物件の場合は、低リスクで安定的に運用することが可能です。
(2)コアプラス型
コアプラス型投資は、コア型と同様にインカム・リターンの獲得を目的としながら、キャピタル・リターンの獲得も目的とする投資戦略です。コアプラス型投資では、これらの双方をバランスよく狙うことで利益を最大化させます。
(3)バリューアッド型
バリューアッド型投資は、インカム・リターンの獲得に加えて、割安物件に付加価値を付けて積極的に収益性を高め、不動産価値を増加させることにより、キャピタル・リターンの獲得をも目的とする投資戦略です。
(4)オポチュニスティック型
オポチュニスティック型投資は、市場動向予測に基づいた不動産売買により、キャピタル・リターンの獲得を目的とする投資戦略です。
各戦略の特徴
各戦略のそれぞれのリスクとリターンを比較検討し、自分の投資スタイルに合う戦略を選択することが重要です。ここでは、各投資戦略の特徴を解説していきます。
(1)コア型
コア型投資は、賃貸収入の獲得を主な目的とするため、低利回りではあるものの、安定した賃貸収入が見込める物件の場合には安定的にリターンを獲得できることが最大のメリットです。
コア型投資を行う場合は、賃貸需要が安定している一等地の物件が最適であるといえるでしょう。また、コア型投資では安定した賃貸収入を得ることが最重要ですので、空室率の低い物件を選ぶことが合理的な判断となります。
・関連記事:空室率とは? ~不動産投資の基本(9)~
(2)コアプラス型
コアプラス型投資では、賃貸収入と値上がり益の双方を狙うので、賃貸収入のみに焦点を当てたコア型の不動産投資戦略に比べて、人口減少や流動性のリスクにも対応可能であることが強みです。
景気が悪い時は低金利であるため賃貸収入で十分に利益を生み出せ、景気回復後に値上がり益を狙うというように、景気のアップダウンに柔軟に対応した不動産投資を実現することが可能であるのが特徴です。
コアプラス型投資を行う場合は、賃貸需要が安定しつつ、値上がり期待も持てる都心の二等地の物件が最適であるといえるでしょう。
(3)バリューアッド型
バリューアッド型投資では、割安に取得した不動産等について積極的に収益性を高め、不動産価値を増加させることにより値上がり益の獲得を目指します。理想通りに運用できれば収益率は高くなりますが、収益の振れ幅が大きく、一般的にコア型・コアプラス型に比べるとハイリスク・ハイリターンであることが特徴です。
また、物件に対して付加価値をつける必要があるため、企画力や経営力も求められてきます。バリューアッド型投資を行う場合には、ある程度の「センス」が必要だと考えてよいでしょう。
(4)オポチュニスティック型
オポチュニスティック型投資には、賃貸や売買市場動向の予測に基づく転売利益、またはバルクセールの買収処分、M&A等多様な形態がありますが、今回の四つの投資戦略の中では最もハイリスク・ハイリターンの戦略であるといえます。
いずれの形態を選ぶ場合もプロフェッショナリティはもちろん、まとまったキャッシュが必要になるため、玄人向けの不動産投資スタイルであるといってよいでしょう。
今回は、不動産投資戦略の四つの種類について解説いたしました。どのような投資スタイルが自分にとって最適であるのかをはっきりさせたうえで、自分の投資戦略に合った物件を選ぶことが大切です。
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