投資判断において陥りやすい判断ミスとその回避策(6)

授かりバイアス(Endowment Bias) ~投資判断において陥りがちな判断ミスとその回避の仕方(6)~

前回の現状維持バイアスに近い心理効果として授かりバイアスというものが知られています。社会心理学や交渉術等においては授かり効果と呼ばれていて、行動経済学においても両方の呼び方が用いられています。

授かりバイアスとは、自分の持っているものを高く評価してしまうことです。これは、人が自分の既に持っているものを手放してしまうことを強く嫌う傾向を持っているからといわれています。

 

授かりバイアス

投資の場面において見られる現象としては、例えば、自分の保有している株を手放してもよいと考える最低の値段(例えば、一株20,000円)と、同じ株を購入するとした場合の最大限の値段(例えば、一株18,000円)が乖離をしていることや、相続を受けた不動産を手放したくないと考える行動が挙げられます。

この様な行動の結果として、以下のような問題を抱えることがあります。

・リスク・リターンが適切でない投資対象を保有し続けてしまう。
・「ただなんとなく安心なので、」よく知っている投資対象を保有し続ける。

不動産投資においては、その唯一性から投資対象の不動産に愛着がわきがちなので、特に授かりバイアスに注意をし、最適な売却時期を逃さない心構えが必要と考えられます(愛着がわくことを否定するわけではありませんが、投資対象として不動産を購入したからには、投資対象として、冷静に売却するかどうかを検討するべきであると考えられます。)。

授かりバイアスを避けるには、「売却をしたくない。」と考えた際に、「この値段で購入をするか?」と考えてみることで、自らが授かりバイアスに囚われているかを判断することが有効といわれています。

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