『日本人は投資が嫌い』『日本では投資が罪悪のように扱われる』と言われることがあります。実際、欧米諸国との比較において、日本人の家計に占める投資の割合は少なくなっています。
[家計の資産構成(日米欧比較)] ※日本銀行調査統計局(2015年3月23日)「資金循環の日米欧比較」より
円安株高・年金不安などの社会情勢を背景に、投資に対する関心が高まっている今日、「投資が嫌い」とか「投資をしない」とはなかなか言えないのではないかと思うのですが、一体なぜ欧米諸国との間にこのような違いが生まれてしまったのでしょうか。
◯ マネー教育
日本の「マネー教育」にその理由の一端を見出せそうです。投資をすることの正しい意味を教えられないまま、古い道徳観からか、漠然と大人たちから「汗をかかずにお金を稼ぐことは良くないことだ」と刷り込まれて育った子どもたちが、大人になっていざ投資をとなったときに躊躇してしまうのも無理はないのかもしれないということです。
当たり前ですが投資は悪ではありません。投資とは利益を得る目的で、事業・不動産・証券などに資金を投下することです。将来を見越した計画性のある資産運用が大切で、汗をかくなど利益を得る手段の是非といった視点は含まれていないようです。
▶ 外国では
このことをどのように子どもたちに教えているかというと、アメリカでは「お金を稼ぐこと」と「投資をすること」を分けて考えることを出発点とし、幼稚園からハイスクールまで、発育段階に合わせたマネー教育の環境が整備されているそうです。また、イギリスでも中等教育に金融教育が義務付けられているようです。幼い頃から投資の勉強を授業の一環として取り入れることで、投資をするのが当たり前という風潮が社会全体の中でごく自然に作られます。そうなってくると、家庭内でもお金の話がタブーということはなく、子どもが小さいうちからお小遣いの使い道や、お小遣いを効率よく運用して増やす方法についての話をすることもごく普通のことになるようです。
▶ 日本では
他方、日本では、小学校の家庭科の授業の一単元で家計の勉強をするといったことが行われているようですが、少なくとも授業の一環として投資の勉強を取り入れるといった早期教育が一般に行われているとは言えないと思います。つまり、日本の投資教育はアメリカやイギリスに比べ遅れていると言えるのかもしれません。
徐々にではありますが、最近では子供にお金のことをきちんと知ってもらいたいと思う親が増えているように思います。年齢が若いうちにお金、投資または寄付などについて考える機会を持つことはとても大切で、子供向け「マネー教育」の広がりが期待されるところです。
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