金銭的(配当や利益の一部など)な対価(見返り)を前提としていることが特徴的な金融型(投資型)クラウドファンディング、さらに融資型(デット型)・株式型(エクイティ型)と二つに分類されることもあります。さらに株式型(エクイティ型)の中には株式投資型と呼ばれるものもあります。おそらく厳密にいうと、この分類には少し説明が必要かもしれません。2015年8月現在、ソーシャルレンディングを含む金融型(投資型)クラウドファンディングのほとんどは、匿名組合契約を使用していますが、株式投資型と呼ばれるものは、匿名組合契約ではなく、まさに会社の株式を売買するという形で会社への出資をクラウドファンディングで募るものとなります。
未上場企業の株式投資型クラウドファンディングの解禁
2015年5月より、行政当局や業界自主規制により規制を受けていたベンチャー企業など未上場企業に対するクラウドファンディングを活用した株式投資が解禁されることになりました。株式を購入するという形で投資が出来るので注目が集まっているようですが、日本ではようやく法制度が確立したばかりなので、どのような案件がクラウドファンディングに取り上げられていくのか、関係事業者が様子を見ているという状態でもあり、広く浸透していくのはこれからではないかといったところです。
投資家サイドからすると一人あたりの投資上限額が50万円に設定されているので、巨額の配当はあまり期待出来そうもありません。また将来有望な企業に未上場時から出資ができるといった反面、果たしてその事業がうまくいってくれるのか、うまくいかなかった場合のリスクも大きいといえます。特に、先行している匿名組合契約を利用したクラウドファンディング(ソーシャルレンディングを含む)の多くが、短期間であっても金銭的なリターンを投資家に提供してきている歴史があるのに対し、一般的にベンチャー企業が黒字化し、投資家に配当を行うのには長い時間がかかり、この制度とうまくマッチするのかよくわからないという気もします。
一方、べンチャー企業などの未上場企業にとっては資金調達の場が広がっているのは確かです。また、一人あたりの投資上限額が50万円とされていますが、発行上限額が1億円までともされていますので株主数が多くなることもあります。
投資家とベンチャー企業などの未上場企業をつなぐクラウドファンディング事業関係者サイドからすると、法改正により条件が緩和されたものの、安心して投資してもらうにはクリアな情報提供などが必須で、より良い案件を提供していくには未上場企業の有望性を見極められる力も必要になり、クラウドファンディング事業者のオリジナリティーが求められるようになるのではないでしょうか。
今後どういった企業が株式投資型クラウドファンディングを利用してくるのか、それぞれ課せられた課題は多々ありますが、「株式投資型クラウドファンディング」の成長を期待したいところです。
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